Home » ニュース » 外国人労働者の拡大 制度、課題広く論議したい

外国人労働者の拡大 制度、課題広く論議したいジパング協同組合

category : ニュース 2014.5.4 
Pocket

働き手の確保が課題となっている。特に建設業は福井県内はもちろん、全国的に人手が不足する。不足を補おうと、政府は外国人労働者の受け入れを一時的に拡大する緊急対策を決めた。

拡大は日本人の雇用や生活環境に急激な変化をもたらす。外国人労働者の待遇改善も課題。国民的な論議を経た政策展開が不可欠といえよう。

■低賃金、若者敬遠■

建設業の技能労働者は2013年平均で約340万人。ピークの1997年から3割近く減少した。長年にわたる公共事業の抑制が背景にある。一方で、低賃金できつい仕事が若者から敬遠された。高齢化も深刻となっている。

東日本大震災による復興工事が本格化。安倍晋三政権の景気対策による公共事業増と、2020年の東京五輪・パラリンピック開催決定が人手不足に拍車をかける形となっている。

県内も例外ではない。建設業関係者は「若い社員が入ってこない。仕事があっても社員を派遣できず、仕事をとりにいけない」とし、働き手の確保が厳しい状況にある。

■その場しのぎ■

政府が決めた対策は、外国人を対象とした技能実習制度を建設業界に限って変更する。今より長く日本で働けるようにするのが柱だ。五輪開催の20年までの時限措置とする。

技能実習制度は、発展途上国の人材育成を手助けする国際協力の仕組みだ。日本の企業で一定期間働きながら技能や知識を身につけ、母国の経済発展に役立ててもらうことが目的だ。

制度の変更は途上国側にとって、目的をより満たす方向でなされるべきだ。しかし、今回の見直しは日本の都合であり、その場しのぎの苦肉の策に映る。

技能実習制度を巡っては、賃金・残業代の不払いや「低賃金の労働者」として不当に扱う企業もある。今回の制度変更を受けて、こうした問題が多発しないか懸念される。

福井労働局によると、県内の外国人労働者数は4693人(昨年10月末現在)で、このうち技能実習生は2639人と最も多い。建設業関係者は「半ば観光気分で来日する研修生が増えている。突然失踪したり、3年間の実習期間を全うせず帰国したりするケースが増えている」と嘆く。失踪者が犯罪に手を染める危険性があり、治安に影響しかねない。

■介護、家事支援も■

安倍首相は、介護や家事支援の分野でも外国人労働者を活用する制度の検討を始めた。背景には急速な少子高齢化がある。団塊世代が75歳になる25年には、今より100万人多い介護職員が必要と見込むからだ。

家事や介護など生活に関わる分野を外国人労働者が担うには、日本人の側にも異なる文化や習慣への理解が欠かせない。

また低賃金で働く外国人が増えることで、企業主は日本人の雇用を控えるようになり、働く場を失うという課題も見える。

労働力の中核となる15~64歳の「生産年齢人口」は、32年ぶりに8千万人を割り込んだ。政府は現役世代の社会保障費負担増を懸念し、女性やシニア世代の就労促進とともに外国人労働者の受け入れ拡大の検討を急いでいる。

外国人労働者の受け入れ拡大に賛否はあるが、人口減少社会が目前に迫っており、労働力確保は喫緊の課題である。制度を含め幅広く論議する時期に入ったといえる。


コメントフォーム

Copyright(c) 2014 ジパング協同組合 All Rights Reserved.