Home » ニュース » 【外国人労働者政策】 一時しのぎでいいのか

【外国人労働者政策】 一時しのぎでいいのかジパング協同組合

category : ニュース 2014.4.19 
Pocket

どうしても必要であれば、きちんと労働者として受け入れる新制度を設けるのが筋だ

労働力をどう維持していくか。この先、日本社会にとって重大な課題となろう。

15~64歳の生産年齢人口が32年ぶりに8千万人を割ったという。総務省が発表した昨年10月時点の人口推計である。

こうした現状で、政府が外国人労働者の受け入れ拡大を検討している。6月にまとめる成長戦略に盛り込む予定だ。

だが、人手不足は短期の外国人労働者で補えばいいとの安易な判断が政府にはないか。一時しのぎで済む問題ではない。

とりわけ作業員の不足が顕著な建設業については、外国人の技能実習制度の枠を広げる緊急対策を先行して決めている。来年度から東京五輪がある2020年度までの時限措置とはいえ、拙速感は否めない。

具体的には、いまは最長3年の技能実習の期間を5年に延ばす。実習生が帰国して1年以上過ぎている場合は、再び最長3年の入国を認めるという。

しかし技能実習制度の趣旨と照らし合わせると、首をかしげざるを得ない。国際貢献の一環として21年前に始まった制度は、実習生が日本企業で学ぶことで、発展途上国への技術移転や人材育成につなげるのが本来の目的である。

それなのに人手不足を理由に制度を拡大するのは無理がある。どうしても必要であれば、きちんと労働者として受け入れる新制度を設けるのが筋だ。

一方、安倍晋三首相は政府内で、家事支援や介護などの分野でも外国人労働者を受け入れる制度を検討するよう指示した。日本人の女性が就労しやすくする狙いなのだという。

ただ女性の就労支援でいえば、男性がもっと積極的に家事や育児ができる環境づくりや、保育所の拡充などがより重要な課題となろう。これらの点をないがしろにしたままでは、国民の理解は得られまい。

介護の現場で人手不足が深刻なのは間違いない。せっかく若者が職に就いても、離職する割合が高い。きつい労働環境や、低水準にとどまる賃金などが原因とされる。優先すべきは職員の待遇改善だろう。

この分野では、08年から経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアとフィリピンから介護福祉士を目指す人たちを受け入れている。日本語という言葉の壁があり、資格試験の合格者は思うように増えていない。新たな制度を設けるのであれば、既存の仕組みと折り合いをどうつけるのかも問われよう。

外国人労働者の問題で思い出すのは、08年のリーマン・ショック後、日本企業で働いていた多くの日系ブラジル人が解雇され、帰国を余儀なくされたことだ。同様に途中で帰国せざるを得なかった中国などからの実習生も少なくなかった。こうしたことを繰り返してはなるまい。

今後の日本の人口減少を踏まえれば、移民政策が一つの選択肢として浮上するかもしれない。だが、慎重論は根強く、安倍首相は「移民政策と誤解されないよう配慮する」と述べる。

それでも、外国人労働者の受け入れを拡大するのであれば、景気の調整弁にすることは許されない。単なる「労働力」ではなく、ともに地域で暮らすパートナーと捉える必要がある。そうした認識を大前提として、根本的な議論が求められよう。


コメントフォーム

Copyright(c) 2014 ジパング協同組合 All Rights Reserved.