Home » ニュース » 麻生財務相が「最高顧問」の外国人実習制度「利権」団体…実習生の低賃金化を助長

麻生財務相が「最高顧問」の外国人実習制度「利権」団体…実習生の低賃金化を助長ジパング協同組合

category : ニュース 2018.4.13 
Pocket

 先日、ベトナム人実習生が福島第一原発の除染作業に従事していたことが判明し、問題となった。外国人技能実習制度の職種に「除染」はない。にもかかわらず、実習先の建設会社が請け負った仕事に駆り出されていたのである。
 
 いくら政府が「実習」という建前に固執しようと、実習制度は日本人が嫌がる仕事を低賃金で外国人労働者にやらせる手段にほかならない。ベトナム人実習生の「除染」問題によって、その実態が図らずも露呈した格好だ。

 新聞やテレビでも頻繁に報じられるように、実習制度をめぐる問題は数多い。残業代の未払いなど実習生への人権侵害もあとを絶たない。実習生は職場を変わることも許されず、しかも給与は最低賃金レベルとあって、失踪して不法就労に走る者も目立つ。制度の根本的な見直しが必要であることは明らかだ。

 しかし制度は見直されるどころか、昨年11月に拡充が決まった。最長3年の実習期間が5年に延長され、「介護」分野での実習生受け入れも可能となる。2017年6月時点で過去最高の約25万2000人を数える実習生も、さらに増えていくことは間違いない。

 なぜ、多くの批判を浴びながらも実習制度は存続しているのか。その大きな理由は、政治の「利権」が絡んでいるからだ。

●「監理団体」の実態

 実習生の受け入れには、民間の人材斡旋会社などは関与できない。代わって送り出し国と日本の双方に、それぞれ仲介役の「団体」が存在する。日本側の組織は「監理団体」と呼ばれる。新聞などでは「商工会など非営利の監理団体」(2016年1月13日『日本経済新聞』電子版)などと説明されるが、正確ではない。監理団体は「事業協同組合」といった公的なイメージの看板を掲げてはいるが、実態は営利目的の人材派遣業者と大差ない。

 監理団体は、実習生の受け入れ先から1人につき毎月3~5万円前後を「監理費」として徴収する。「監理」とは名ばかりのピンハネである。零細な企業や農家などが大半を占める受け入れ先には重い負担となる。結果、実習生の賃金が抑えられる。
 
 監理団体の介在だけでもなくせば、実習生の失踪はかなり減るはずだ。しかし、制度が改まる気配はない。監理団体には、政治の後ろ盾があるからだ。監理団体の運営には、落選もしくは政界を引退した政治家がかかわっていることが少なくない。「中国は旧社会党、それ以外のアジア諸国は自民党」といった具合に、与野党で受け入れ利権の棲み分けまで以前はあった。現在でも、小泉純一郎政権で幹事長を務めた武部勤・元自民党衆院議員が代表理事を務める一般財団法人「東亜総研」は、監理団体としてベトナムなどからの実習生を受け入れている。現職の国会議員で、自民党幹事長という要職にある二階俊博氏も、同法人の特別顧問だ。監理団体は、問題が起きれば入国管理局など行政機関とのやり取りが生じる。また、送り出しの政府関係者とのコネクションがあれば、受け入れもやりやすい。そんな事情もあって、政治家の名前が威力を発揮する。

 最近になって実習生の送り出しが急増中のミャンマーに関しては、監理団体から収入を得ている組織がある。宮澤喜一内閣で郵政大臣を務め、のちに自民党から民主党などに移った渡邉秀央・元参院議員が会長を務める一般社団法人「日本ミャンマー協会」(JMA)だ。

 JMAの最高顧問には、「森友問題」で注目を集める麻生太郎・財務大臣が就いている。麻生氏のほかにも、名誉会長に中曽根康弘・元首相、副会長には仙谷由人・元民主党衆院議員、さらには理事には福山哲郎・立憲民主党幹事長、魚住裕一郎・公明党参院議院会長といった具合に、現職を含め与野党の大物政治家が並ぶ。

 JMAは2016年から、ミャンマー人実習生に対する求人票の「事前審査業務」を担っている。失踪防止などの観点から、監理団体をチェックするのだという。「ミャンマー労働省の要請、並びに在日ミャンマー大使館の委託」があってのことだが、一民間団体が実習生の斡旋で独占的な立場を占めるなど、他国からの受け入れにはないシステムだ。

 ミャンマー人実習生の受け入れを希望する監理団体は、JMAの「ミャンマー人技能実習生育成会」に入会しなければならない。さもなければ、ミャンマーからの受け入れができないのだ。入会金は5万円で、年会費が1口5万円、さらに審査手数料として実習生1〜3人だと1万円、4〜6人で2万円といった費用が発生する。こうした費用は監理団体から受け入れ企業へと転嫁され、結果的には実習生の賃金が安くなる。

 2013年末には120人にすぎなかったミャンマー人実習生の数は、17年6月時点で5019人まで急増した。その数は今後、飛躍的に増える可能性が高い。受け入れ関係者の間では、実習生の出身国として現在のトップはベトナムだが、今後ミャンマーが逆転するという声が強い。当然、JMAの収入も増えることになり、極めて大きな利権だ。同協会の渡邉会長は、4年前のインタビューでこう語っている。

「ミャンマー支援で、なにか甘い蜜があるというような記事が出たこともあるが、そういう気持ちでやってきたことはない。国のため、日本企業のためにプラスになり、ミャンマーの力になることをやってきた」(2014年1月9日「SankeiBiz」)

 だが、実習生の「事前審査業務」は明らかに「甘い蜜」である。

●JMAの「特権」

 JMAについては昨年6月6日、参院内閣委員会でも取り上げられた。

「(日本)ミャンマー協会のように、送り出し国との間に一枚かんで何か仕事をつくって、一枚かんでいるほかの日本の団体というのは存在するんでしょうか、教えてください」

 そう質した山本太郎・自由党共同代表に対し、政府参考人の佐々木聖子・法務大臣官房審議官はこう述べている。

「私ども、このような団体というのは承知しておりません」

 そんなやり取りがあった以降も、JMAの「特権」は維持されたままだ。

 ミャンマー政府がJMAに特権を与えたのは、有力政治家の存在があってこそだろう。こうした与野党がグルになっての関与がある限り、いくらメディアが批判したところで、実習制度が根本から見直されることはないだろう。その陰で、実習生と、彼らの受け入れ先となる零細企業が泣いている。


コメントフォーム

Copyright(c) 2018 ジパング協同組合 All Rights Reserved.