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17衆院選で考える/中 「低賃金」への方便?…技能実習制度 外国人抜きの農業ない /茨城ジパング協同組合

category : ニュース 2017.10.27 
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鉾田市でメロン農家を経営する60代男性がどこかへ電話を入れると、畑の横にあるプレハブの方から顔が浅黒く、体形のがっちりした男性が現れた。「コンニチハ」。片言の日本語であいさつされたが、目には明らかな警戒心が浮かんでいた。

 男性は30代のベトナム人だった。2014年1月に「技能実習生」として来日し、市内の建設現場で働いていたが、実習期限の3年を前に失踪し、ここで1年弱働いているという。

 男性経営者によると、ここでは家族3人と不法就労の外国人十数人が働き、男性は他のベトナム人5~6人とプレハブで寝泊まりする。警察に見つかるのを恐れて外出は極力控え、買い物はもっぱらネット通販だという。

 男性のような外国人の不法就労者が警察に見つかり、入管難民法違反(資格外活動など)容疑で逮捕されると、多くが退去強制手続き、つまり強制送還となる。

 法務省によると、2017年上半期に退去強制手続きを受けた不法就労者は4579人だった。このうち県内で働いていたのは、約4分の1の1103人で、全国1位だった。また不法就労の業種で見ると、農業は1216人と4分の1を占める。

 「なぜここで不法就労しているのか」。そう尋ねると、ベトナム人男性は「お金」と即答した。技能実習生の頃は時給800円弱のうえ、仲介する団体などがさまざまな名目で天引きするため、手元に入るのは半分ほど。月7万~8万円しかないという。

 一方、メロン農家の賃金も時給800円ほどだが、天引きされる金額が少ないため、月15万~20万円ほど得られる。これはベトナムで働いていた頃の約4倍に上るという。さらに技能実習生と違って期限がなく、強制送還にならない限り働き続けられる。

 農家の側も不法就労と知りつつ彼らを雇っている。

 男性経営者は以前、近所の主婦を雇っていた。しかし地域の高齢化が進み、過酷な肉体労働は避けられるようになったという。「外国人がいなければ農業は終わりだ」と自嘲気味に明かした。農業でも技能実習生を受け入れられるが、男性経営者にその気はないようだ。「年間3人ぐらいしか雇えないし、(仲介団体から)1人毎月数万円の手数料を引かれる。直接雇う方が外国人のためになる」と開き直った。

 技能実習制度は、日本で学んだ技術を途上国に移転するのが本来の趣旨だが、実際には低賃金の労働者を受け入れる「方便」になっている。それを見透かされたように制度は悪用され、不法就労を生む温床になっている。


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