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外国人技能実習生 昨年の失踪者、過去最多に 制度の理念と実態に隔たり /長崎ジパング協同組合

category : ニュース 2016.11.22 
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 発展途上国の労働者が日本で技術を学ぶ「外国人技能実習制度」で来日した外国人の失踪者が増加している。法務省入国管理局によると、昨年の失踪者は5803人で過去最多となった。高い賃金を求めて国内で不法に残留・就労しているとみられる。一方、受け入れる側も実習生を安価な労働力と考える傾向にあり、双方が制度の理念である「技術の習得」からかけ離れているのが実態。実習制度が不法な残留・就労の温床となっている。【今野悠貴】

 7月15日、中国で高級食材として人気がある「ビゼンクラゲ」を加工していた島原市の工場に警察が踏み込んだ。捜査関係者らによると、工場は6月に出入国管理法違反(不法残留)容疑で逮捕された中国籍の男(27)が働いていた。

 警察が踏み込んだ際、工場内には中国人の従業員15人がおり、うち19~45歳の7人が不法残留容疑で逮捕された。彼らは、経営者(35)が中国語の会員制交流サイト(SNS)「QQ」に書き込んだ求人情報を見て全国から集まっており、男を含め計6人が技能実習生として来日後の失踪者だった。逮捕された中国人たちは全員母国へ強制送還された。

 男は中国山東省の農村部出身。2015年3月、在留期間が1年の技能実習生として来日し、都内の建設会社で働いていたが、7月に失踪。その後もより良い待遇を求めて全国を転々としていた。捜査関係者は「実習制度を使って日本に行けば収入を得られると思って入国し、その後他の職場の高い賃金に目移りしたのでは」。8月に2人のベトナム人実習生が失踪した島原市の受け入れ企業の関係者も「長崎県は最低賃金が低く、より賃金の良い県外へ逃げたのではないか」と話す。

 実習制度は、発展途上国への技術移転を目的に、外国人が実習生として最長3年間働きながら技術を習得できる。中国やベトナムなどからの受け入れが多く、現行制度が運用された11年に全国で約14万人いた実習生は今年6月現在、約21万人に膨れた。県内は昨年末で2249人。失踪者数も増加の一途をたどっており、11年の約1500人から昨年は5803人と4倍近く増えた。うち中国人の失踪者が3116人と半数以上を占めている。

 実習生がより高い賃金を求めて失踪する一方、実習生を受け入れる団体や企業の問題も指摘されている。違法な長時間労働や残業代などの賃金不払いなどが横行しており、実習生が安価な労働力として使われている。実習生問題に詳しい全統一労組の佐々木史朗書記長は「実習前の説明と賃金が大きく違う、休みが取れない、暴力をふるわれるなどの問題は多い」と話す。こうした劣悪な労働環境から逃げ出す実習生も多いとみられる。

 事態を重く見た政府は、不正に在留資格を変更した偽装滞在外国人らの罰則を整備する出入国管理法改正案や、実習生への人権侵害行為に対して罰則を規定する技能実習制度適正化法案を今臨時国会に提出。失踪の防止や実習生の保護につなげる方針だが、佐々木書記長は「日本人がやりたがらない仕事を低賃金でやらせるという考え方が変わらない限り、抜本的な解決は難しい」としている。


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