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1日14時間、無休で月15万円…技能実習、過酷な現実ジパング協同組合

category : ニュース 2016.11.20 
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17日に参院法務委員会で可決された技能実習制度適正化法案の主な狙いは、外国人技能実習生の保護だ。日本の技術を伝える国際貢献の制度なのに、実習生が安い労働力として使われている現実がある。不当な低賃金や長時間労働の事例も後を絶たず、関係者は法案の効果をはかりかねている。

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■残業141時間、手帳に記録

 今年2月、技能実習生のベトナム人女性(29)の手帳には「8→10h」の文字がびっしりと並んだ。岐阜県の零細縫製業者での労働時間を記録したものだ。

 月曜から土曜までは午前8時~午後10時、日曜日は午前8時~午後6時。休日はなかった。余白にメモした「141」は、月の残業が141時間だったことを示している。

 仕事は婦人服の縫製で、基本給は約11万8千円。日々の残業代は1時間目のみ905円。2時間目以降は1時間あたり550円で、最低賃金を下回っていた。休みなしで働いても月収は約15万円だった。

 9月、実習生を支援する愛知県労働組合総連合(愛労連、名古屋市)にSNSでメッセージを送った。「私たちを救って下さい。疲れ切っています」。一緒に働く5人のベトナム人実習生と共にベトナム語で状況を伝え、労働時間を記録した手帳や給与明細の写真を送った。

 労働基準法で通常賃金から割り増すよう定めている残業代は逆に割り引かれ、土曜日分の賃金の不払いが強く疑われた。愛労連が10月、労働基準監督署に申告したところ、今月、業者から実習生6人に解雇通知書が届いた。「業務継続の見通しが立たず、本日をもって廃業します」とあった。

 岐阜労働局によると、岐阜県内の労基署が昨年4~12月、実習生を受け入れている「繊維製品製造業」の一部にあたる38事業場を監督指導した結果、35事業場で法令違反が確認された。違反内容は残業の割増賃金違反、最低賃金法違反、長時間労働の順に多かった。

ログイン前の続き■工賃下がり、下請け苦境

 背景にあるのが縫製業界の工賃の低さだ。ある業者から愛労連に届いた文書には「1日の仕事量、経費を考え、適正な工賃でなかった場合、メーカーに工賃の見直しをお願いしていました」などと下請けの苦境ぶりがつづられていた。

 法務省の在留外国人統計によると、岐阜県内の実習生は全国4位の1万395人。実習生の受け入れ先に助言、指導する公益財団法人「国際研修協力機構」の統計では、うち4割が縫製業で働く。榑松(くれまつ)佐一・愛労連議長は「外国製品との激しい価格競争で工賃は下がり、安い賃金では日本人も集まらない。岐阜の縫製業は実習生抜きには成り立たない」とみる。

 法案には、受け入れ業者や監理団体を監督する機構の新設が盛られている。榑松議長は「限られた人員で、悪質な業者や団体を抜き打ちでチェックできるのか、新法では担保されていない」と疑問を持つ。

 神戸大大学院の斉藤善久准教授(日越労働法)は、違法な業者や団体を減らす効果は期待できるとみるが、「規制の厳格化や手続きの煩雑化に対処する経費が、実習生に転嫁される恐れがある」と心配する。

 また、斉藤准教授は日本と送り出し国との間で規制に矛盾があるとして「一体的な法整備が必要だ」と指摘する。例えば、日本は、送り出し機関が失踪を防ぐために実習生に保証金を求めることを禁じているが、ベトナムは3千ドルを上限に許可しているという。


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