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【外国人技能実習生:3】中国とベトナムの実習生最新事情ジパング協同組合

category : ニュース 2016.7.14 
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【記事のポイント】
▼中国からの技能実習生は今後も一定数を占める
▼急速に増えるベトナム人が業種によっては主力となる

■数年で大きく変わった技能実習生の中国事情

 外国人技能実習生制度に今年4月、「技能実習2号移行対象職種」として、新たに自動車整備とビルクリーニングが追加された。今後これらの職種では1人の実習生が、最長3年間に渡って実習を受けることができる。

 これまでにも外国人技能実習生制度は繰り返し改正が行われている。最近では15年4月にも「技能実習2号移行対象職種」について、耕種農業、牛豚食肉処理加工業、惣菜製造業が追加された。その歴史は入管法の一部改正による在留資格として「技能実習」が創設された09年まで遡る。かつては「研修」名目で行われていた在留に対して、労働関係法規の見直しが行われたのがきっかけだ。

 外国人実習生制度に長年携わってきた関係筋の話によると、研修名目での在留が伸びていた15年前ごろには、中国からの研修生が大半を占めていたという。現地の日系食品工場での月収は月に600~700元で、日本円にして約1万円。一方で研修制度は手取りで6万円からの収益を上げることができた。

 しかし、近年ではこの構図も変わりつつあるという。中国での平均所得が高まるとともに、外国人技能実習生制度では現地での研修が必要となった。その研修も法的な義務は1カ月のみだが、現場が求めるレベルのスキルを磨くためには、少なくとも3カ月程度の期間が必要となる。このため、富裕層から中間層は無理に日本を訪れようとせず、一方で本当の貧困層には研修やパスポート取得の費用が支払えない。

 今では郊外で義務教育を優秀な成績で終了したものの、大学に通うまでの学費を用意できない人が実習生の中心になっているという。現地の職業学校に通い、その職種についての一定の基礎を学んだ上で、技能実習生として来日する。能力としては優秀な人材が多いが、その分だけ職種を選ぶ傾向にある。

■増加傾向にあるベトナム人実習生、その傾向は?

 日本では今オリンピックに向けて建設ラッシュが進んでいるが、こと建設業においては技能実習生からの人気は低い。それは肉体労働であるということに加えて、拘束時間の問題が大きい。現場まで毎日片道2時間拘束され、騒音などの問題から残業で給料を増やせる職場も限られる。

 ただ、その中でも比較的に建設業で多く技能実習生を集めているのがベトナムだ。これは、どの業種にも当てはまり、中国人実習生のニーズに当てはまらなくなってきた職種での送り出し元が、今ベトナムにシフトしてきているという。

 これは、ベトナムが親日国であるということが大きい。空港や高速道路などは、日本からのODAによって整備されている。また、ベトナムはバイク大国として知られているが、道を走っているのはホンダやヤマハといった日本の車種が中心だ。教育の面でも日本の高度経済成長を参考にするような傾向が見られるという。

 さらに、現地での研修を技能実習生が実費で行うことも、中国に通じるものがあるという。これは共産圏特有の現象で、例えばフィリピンでは海外労働者の出国にあたり、当人が費用を負担するような行為は認められていない。そのため、技能実習生に現場が求めるレベルの研修を行うには、受け入れ企業が費用を負担することになる。また、ベトナムのような国では送り出し機関が研修をビジネスとして実施できるため、日本の駐在員が実習生の相談に対応するなど、訪日後のサポートも充実している。

 これまで、建設業では現場の責任者が技能実習生の受け入れを拒むケースもあったという。現場での安全を第一と考える彼らにとって、きちんとした教育が行われていない技能実習生を受け入れることには抵抗があった。しかし、中には会社がきちんと現地での教育を担保するならと、受け入れを容認するケースもあるという。こうしたオーダーに的確に応えられる国として、今ベトナムが注目されている。

■国ごとの個性や将来性を見据える

 外国人技能実習生制度によって、日本には多くの外国人が仕事のために訪れるようになった。その数は15年で19万2655人。地方の田舎道で外国人を見掛けたら、そのほとんどは農園で働く技能実習生だという地域も珍しくない。

 ただ、その個性は国によって様々だという。中国人は割と感情を表に出す傾向にあり、意見の衝突があったとしても、そこで和解すれば親密になれる。ベトナム人は感情を秘める傾向にあり、本心を聞き出すためには、積極的なコミュニケーションが必要。カンボジアは現地との給料額の差が大きいため、無理をして残業までしない人も多い。インドネシアはイスラム圏のため、食品加工の職場では注意が必要だ。

 とはいえ、技術的な部分では国による優劣は大きくなく、基本的には日本人の新入社員に対するように、親身に対応することが重要だという。失踪などの問題が取りざたされることがあるが、SBIレミットのような海外送金事業者が現れたこともあり、かつてに比べれば少なくなっているという。

 ただ、こと言葉の壁については、女性の方が解決する傾向にある。どうやら女性の方が話好きという特徴は、世界を問わずに一般的なようで、実習の間にも受け答えが目に見えてスムーズになっていくようだ。

 以上の状況をまとめると、中国人が制度の一翼を担う一方で、今後はベトナムなど第三国からの技能実習生が増えることが予測される。とはいえ、それも現地の経済成長に左右されることになるだろう。ベトナムは今高度経済成長期にあり、10年後も技能実習生へのニーズが今ほどあるかというと懐疑的だ。工場移転などの海外進出だけでなく、技能実習生の受け入れについても、将来を見据えた計画性が必要となるだろう。


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