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直用の専門工事会社設立/鹿島/中長期に供給力維持ジパング協同組合

category : ニュース 2016.6.27 
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【職人不足に備え、複数工種自前で施工】
 鹿島(押味至一社長)は、今年度後半から本格化する首都圏の大規模建築工事や、中長期的に確実視される職人不足への対応として、23日付でALC工事と耐火被覆工事を行う「鹿島フィット株式会社」(本社・東京都港区、永野隆彦社長)を設立した。建築工事で特に職人が足りなくなると判断した、4工種・職種について自前で職人を抱えるなどの体制強化で、短期・中長期的にも供給力を維持することが目的。自前の直接施工を通じた知見を作業効率改善などに生かし生産性向上にもつなげる。最終的には専門工事業の多能工化を実現させる狙いもある。今回の新会社はその初弾となる。
 押味社長は昨年6月の社長就任以来、「現場第一主義」を掲げ、業界・個社共通の最大テーマとして、「担い手の確保」を挙げてきた。ただ人口減少の中、需要が増加しても必要な労働力の確保が難しく、労働力の減少を補うために、作業効率や技術革新などで生産性を向上させることが、建設産業界にとって担い手確保と並んで大きな課題となっていた。
 そのため同社は、「労務3割削減キャンペーンとして、▽PC化などで現場作業を削減▽ロボット化など創意工夫▽現場管理IT化など改善・工夫--を掲げ取り組んできた」(同社建築管理本部の伊藤仁常務副本部長)。その過程で、「短期・中長期的に職人が足りないのは、ALC(軽量気泡コンクリート板)、耐火被覆、鉄骨溶接、設備の4つと判断」(同)、4工種・職種について、対応を急ぐことを決めた。
 今回、鹿島が4割、子会社の大興物産が6割出資して設立した新会社「鹿島フィット」について、伊藤副本部長は「職人を直用することで、元請けの施工管理だけでなく生産システム全体での作業効率やロボット化、機械化など生産性向上につなげたい。(新会社が)軌道に乗った段階で多能工化も推進したい」と今後を展望する。また、専門工事業の多能工化について、「現場で(複数職種の作業によって)長く働くことは収入の安定化だけでなく、現場の安全や生産性向上にもつながる」と職人の処遇改善だけでなく現場の統括管理を担う元請けにとってもメリットがあることを強調する。
 一方、「2018年、19年に首都圏建築工事が大きな山(工事のピーク)を迎える」ことを受け、専門工事業種で資格取得と更新試験が難しく資格取得者も少なく今後、し烈な資格者確保競争が確実視される鉄骨溶接工についても、「子会社の鹿島クレスの中に溶接事業部を設置し、クレス社員がロボット溶接を行い、現場溶接はベトナム人の外国人技能実習生を今秋から受け入れる」(同)ことで対応する。
 鹿島など大手ゼネコンは、鉄骨溶接の資格で年1回しか行われないAW検定試験とは別に、自社の設計・施工案件に限定してAW検定に準拠した独自検定を行っている。鹿島は鹿島式AW検定に合格した外国人技能実習生の溶接工を日本の現場に配置する。
 今後、需要集中で職人不足が確実な鉄骨溶接工や、過酷な作業環境・内容を理由に内装工事の中で不人気職種と言われる、耐火被覆やALC工事の一部を自社施工で賄うことで、人手不足を理由にした生産工程のボトルネック(制約、障害)解消を目指す。また将来的には多能工化を実現することで、生産性向上とともに職人の現場作業日数増加による収入増につなげ、最終的には協力会組織の強化と安全・品質を担保した供給量の維持を図る。
■鹿島フィット 耐火被覆工事とALC工事を行う内装工事会社。採用する技能者はすべて正社員となる。
 永野隆彦社長の話 「初年度は耐火被覆、ALCそれぞれ10人ずつ採用し3年後には技能者50人体制とする予定。鹿島東京建築支店の案件の1割から2割の耐火被覆、ALC工事を受注したい。耐火被覆については吹き付けの従来工法や、マキベエといった巻き付け工法だけでなく、ロボット吹き付けも視野にした研究開発を進めたい」
 「鹿島グループが専門工事を実際に担うことは、元々職人が少ない職種のため、協力会組織からも異論はない。簡単ではないが職人直用会社として着実に育てていきたい」


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