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農業の不法就労、3年前の3倍に 背景に高齢化・人手不足ジパング協同組合

category : ニュース 2016.6.19 
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 農業分野で不法就労する外国人が急増している。法務省によると、二〇一五年に退去強制手続きを執った不法就労者のうち、農業従事者は千七百四十四人で三年前の約三倍に達した。全体の21・9%を占め、業種別で最多となった。背景には高齢化と人口減少に直面する農家の深刻な人手不足があり、高い労働需要に応じて外国人が集まる実態があるとみられる。
 法務省は「東京からアクセスが良い茨城、千葉両県の農業地帯に集中している」と分析。今後、各地に広がる恐れがあり、警戒を強めている。
 「強い農業」への改革を掲げる政府に対し、外国人による短期就労の解禁を求める声もある。外国人労働者をどう位置付け、担い手を確保するのかが問われている。
 法務省によると、農業の不法就労者は一二年の五百九十二人から一三年は六百九十五人、一四年九百四十六人と増え、一五年は千七百四十四人に跳ね上がった。全体に占める農業の割合も〇九年の4・6%から年々上がり、一五年は建設作業員や工員を抜いてトップになった。
 一方、合法的な外国人雇用としては、途上国支援を目的とした外国人技能実習制度などがある。農林水産省の推計では一四年度時点で二万四千人の技能実習生が農業に従事している。
 不法就労者全体の数を都道府県別にみると、集計を始めた一九九一年以来、東京が四半世紀にわたり最多だったが、一五年に茨城(千七百十四人)が一位、千葉(千二百三十八人)が二位と東京を追い抜いた。国籍別では中国、タイ、ベトナムなどが多い。法務省は農業分野の都道府県別データは公表していない。
 アジア各国へのビザ発給要件が緩和されたことや、技能実習生の失踪が増えている影響で、長く減少していた不法残留者数は一五年から増加に転じた。そうした不法残留者は、会員制交流サイト(SNS)で連絡を取り合い、待遇が良い就労先に集まる傾向があることから、農業に流入しているようだ。季節によって繁閑の差がある農家にとっても、農繁期だけ雇用できる利点があるという。
 東京入国管理局のある警備官は「茨城には全国から不法就労者が集まっている。五千人ぐらいいるのでは」と推測する。過去に不法就労の中国人二人を雇って摘発された茨城県の六十代の農業男性は取材に「違法でも雇わなければ経営が成り立たない」と語った。


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