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出身国激変 透ける限界ジパング協同組合

category : ニュース 2016.6.9 
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◎人口減 復興のかたち[46]第10部ヨソモノの力(2)実習生頼り

 ベトナム中部の農村地帯出身のチァン・ティ・フォンさん(21)は2015年4月から塩釜市の水産加工事業所で技能実習に励む。4人きょうだいの末っ子で父はコメ農家。「日本は他の国よりもお金が稼げる。みんな行きたいと話している」と母国での評判を語る。
 フォンさんは、塩釜市の水産加工場に実習生を派遣する監理団体「塩釜魚市場水産加工業協同組合」に採用された。「帰国したら通訳の仕事をしたい」。加工場で積極的に日本語を話し、語学力を磨く。
 震災が水産加工業界の人材難に拍車を掛けた。組合顧問の宮城正博さん(67)は「操業再開後、以前の職員に声を掛けても戻ってこない。募集を掛けてもほとんど集まらない」と嘆く。
 穴を埋めるように実習生への依存が強まる中、出身国の構図は大きく変わりつつある。背景には中国の急速な経済成長がある。ここ数年で日本円による収入の4割が目減りするほど人民元高が進んだ。

 組合は実習生の受け入れ枠を拡大する特区制度を活用し、現在の64人を17年度に100人まで増やすことを計画する。20年余り主軸だった中国人ではなく、ベトナム人を優先的に採用する方針という。
 内海勝男会長は「子育てや介護を理由に(3年の)期限前に帰国するケースが増えた。経済成長や少子化で中国からの派遣は将来難しくなる」と説明する。
 中国人実習生の減少は全国的な流れだ。12年には全体の7割を占めていたが、15年は5割に減った。一方でベトナム人は3倍、フィリピン人は2倍に急増した。

 他国の人材派遣企業は日本の労働市場をどう評価しているのか。東京で4月中旬、世界有数の人材派遣国フィリピンで船員派遣事業を展開する財団のドリス・マグサイサイ・ホー最高経営責任者(CEO)が講演した。
 外国人労働の制約が多い国ほど不法就労や失踪を招くことを、各国の事例を示しながら説明。「外国人が安定した労働環境で技術を習得し、定期的に帰国して家族と暮らせるようにすることが重要だ」と、厳しい法規制を敷く日本の市場改革に期待感をにじませた。
 国際労働力問題を専門とする首都大学東京の丹野清人教授は安価な労働力を期間限定で求める技能実習制度は限界が来るとみる。「ベトナムなど日本に人材を供給している国々は経済が急成長しており、いずれ日本は見向きもされなくなる」。人口減に伴う労働力不足の解消を外国人に求めるならば、真剣に移民制度を議論すべきだと主張する。
 中国人からベトナム人、フィリピン人。円の力にものをいわせた人材確保はどこへ行き着くのか。人口流出が続く被災地では、ミャンマー人やネパール人の売り込みが始まっている。


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