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日本ロジテック(協)の「破綻の構図」ジパング協同組合

category : ニュース 2016.4.5 
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電力小売り自由化に警鐘を鳴らす新電力事業者の経営破綻
 電力小売を手掛ける新電力(PPS)で、大手の一角に数えられていた日本ロジテック(協)(TSR企業コード:298943107、法人番号:6010005012356、中央区、代表理事:軍司昭一郎氏)が再度の資金ショートを起こし3月22日、行き詰まりを表面化した。
 すでに3月11日付けで破産手続きを弁護士に一任して債務整理を進めていた。負債総額は集計中ながら、自治体への未払いを含めて100億円を上回る見通し。
 4月1日、電力小売りの完全自由化がスタートした。新たな市場への期待に沸き立つ一方で、日本ロジテックの破綻は薄利多売の厳しい経営環境を露呈し、波紋を広げている。
 
 新電力とは、東京電力など地域の大手電力会社10社以外で電力供給を行う事業者を指す。電力小売は規制緩和の流れを受けて徐々に拡大してきた。2000年3月に大規模工場など特別高圧の施設でスタートし、2004年4月からは中小規模の工場やビル、マンションなど50kw以上の高圧の需要家に対して販売自由化の領域が拡大した。
 そして2016年4月、低圧の一般家庭や商店にも対象が広がり、全面的な電力小売の自由化を目前にしての倒産となった。
 50kw以上の高圧需要家向けの電力供給業者は「特定規模電気事業者」として経済産業省から認可を受ける必要があり、その企業数は799社にのぼる。一方、家庭向けの電力供給業者はこれとは別に経産省の審査を経て「登録小売電気事業者」として276社が登録されている。(4月1日時点)

◇電力小売への参入を機に業績急拡大
 日本ロジテックは「特定規模電気事業者」として急速に業績を拡大させた企業の1社だった。もともとは電力小売事業を目的に設立されたわけではない。
2007年11月、共同流通センターの運営を目的に12社の組合員で事業協同組合として発足した。その後、組合員向けにETC割引制度の共同利用事業(高速道路の多頻度割引制度を利用して利用料金を割安で提供)や、外国人技能実習生の受け入れ事業(外国人実習生を組合員向けに斡旋)を手掛けていた。
 組合員向けのサービスを細々と展開していた同社が急激に拡大し、全国区に変貌したのが電力小売への参入だった。同社は2010年4月に電力小売事業をスタート、折しも翌年発生した東日本大震災が大きなターニングポイントとなった。

 相次ぐ原発稼働停止を受けて国内の電力市場が急変し、2012年7月からは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度も始まり、安価な電力への需要が大幅に増加した。同社の2012年3月期の売上高は4億2,600万円にすぎなかったが、契約数はうなぎのぼりに増え、2015年同期は売上高555億7,700万円とわずか3年で売上高が130倍という驚異的な伸びをみせた。

◇顧客急増が招いた資金繰り悪化
 ところが2015年5月、同社の信用を大きく損なう事態が発生した。4月30日期限の再生可能エネルギー特別措置法に基づく納付金(契約者から支払われる賦課金)が納付されなかったとして経済産業省から社名公表措置を受けたのだ。この時点で、すでに資金繰りは自転車操業状態だった。急激に増加した契約者を賄うため仕入量は拡大し、資金需要が増した。一方で消費が集中する夏場を中心に電力の卸価格が上昇し、仕入コストと販売価格で逆ザヤが生じた。
 この問題を解消するために関連会社を通じて発電所の設立を目指したが、逆に資金の固定化を招き、顧客拡大を目的に支払っていた組合員への顧客紹介報酬の負担も重荷となった。この間、資金調達を模索して上場会社との不可解な提携話なども同社の信用をさらに低下させた。拡大する業容の裏で、諸々の不安要素は経営を蝕んでいた。同社の資金繰りはその後も改善することなく、仕入先への未払いが恒常的に発生。そして今年3月には事業継続を断念し、破産に向けた整理に着手した。

◇自治体の焦付きは合計40億円に
 日本ロジテックの破綻が表面化して以降、同社に売電していた電力会社や自治体で回収難の問題が一気に噴出した。特に自治体では、ごみ焼却施設などから出た余剰電力を同社へ売電していたところも多く、合計40億円もの自治体向け支払滞納が明らかとなった。
 また、全国9,000カ所に及ぶ同社の電力供給先の契約者は、電気の供給が止まるわけではないが、新たに契約の切り替えが必要で、混乱は現在も続いている。

 「特定規模電気事業者」の多くは一般家庭向けの「登録小売電気事業者」の資格の取得に動いている。電力小売の全面自由化を機に総合商社やインフラ系、通信会社などが本格的に参入している。まさに電力小売事業は参入バブルの様相を呈している。だが、いかに安く電力を仕入れて多くの顧客を獲得して利益確保できるか。同時に、仕入れで膨らむ資金需要に対応できるか。資金力が大きなポイントになっている。
 ある新電力業者は今年に入り、値引き競争の激化を理由に販売代理店への委託販売報酬率を大幅に引き下げた。プレーヤーの増加で薄利に頭を抱える構図が浮かんでいる。
 家庭向け電力小売の4月スタートに備え、大手は豊富な資金力や顧客基盤を背景に様々なメニューを打ち出し、顧客の囲い込みは激しさを増している。8兆円市場と言われる電力小売の全面自由化への期待度は高いが、資金力や顧客基盤などが豊富な大手企業に顧客が集中する可能性もある。独自色を打ち出せず資金力に不安のある参入業者は、競合激化の波に飲み込まれ、第2の日本ロジテックになる危険性もはらんでいる。


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