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アジアと北海道4:実習生頼みの加工業ジパング協同組合

category : ニュース 2016.1.12 
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ベトナム・中国から若者

 ガラス張りの加工場で、白い帽子とマスクで顔を覆った女性たちが黙々とサケを切り身にして骨を抜き、包装していく。

 根室市の水産加工会社「カネヒロ」のサケ加工場で働く約20人のうち、3分の2ほどをベトナム人が占める。同社の宿舎で共同生活を送り、自由時間は日本語の勉強に励む。2年前に来日したグエン・ゴック・カイン・バンさん(29)は日本語能力試験で2番目に難しい「N2」に合格し、「ベトナムに戻ったら日系企業で通訳として働きたい」と夢を語る。加工場の日本人女性(74)は「みんな一生懸命働くし、若い子がいると張り合いが出る」。高齢化が進む職場で、彼女たちは活気をもたらす存在でもある。

 根室ではベトナムへのサンマ輸出事業をきっかけに、2012年度から商工会議所を通じてベトナム人技能実習生の受け入れを始めた。市によると、現在は10社以上で約150人が働く。技能実習生はかつて中国人が中心だったが、中国の経済成長に伴って減り、今はベトナム人が多数を占める。根室水産協会長でもあるカネヒロの廣田秀樹社長(69)は「過疎化で若い人が集まらない。ここ数年でさらに求人が難しくなり、彼女たちがいないと地域の水産加工業は立ちゆかない」と話す。北海道の基幹産業は、アジアの若者に支えられている現実がある。

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 厚生労働省北海道労働局によると、道内の外国人労働者は14年10月に初めて1万人を超えた。5年前の1・8倍だ。このうち技能実習生は4割強。正社員や契約社員として道内で働くアジアの人々も多い。

 札幌市西区の「白い恋人パーク」で、周丹さん(34)がショーケース越しに中国人観光客が求める商品を案内していた。

 中国黒竜江省出身で、北海道教育大岩見沢校を経て13年に石屋商事に入社した。日本企業のサービスに感心する中国人客は多いといい、「日本のおもてなし精神を伝えることで、日本と中国のかけはしになりたい」という。

 「白い恋人パーク」には昨年2月、前年の約4倍の1万5千人超の中国人客が詰めかけ、「英語では対応できないと痛感した」と柿村俊子館長は話す。石屋商事は昨秋に中国出身者を3人採用し、さらに今春もアルバイトの中国人3人を社員に登用する。中国人社員向けの研修制度もつくる予定だ。

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 活路を求めてアジアに向かう企業もある。

 札幌市白石区の「ワコオ工業」は、インフラ施設のバルブやポンプの維持管理をしている。社会を支える「黒衣」の仕事で、若い技術者の確保に苦労している。

 11年にフィリピンに現地法人を設立し、10人のフィリピン人社員を採用した。日本人社員をフィリピンに派遣して指導するとともに、フィリピン人社員にも日本に来てもらって技術を磨かせている。

 和田一仁社長(60)は「アジアの国々は人口が増え、若者があふれている。数十年先には日本のように豊かになり、下水道や空調なども整備される。フィリピンは我々のアジアの拠点になりうる」と見据える。

 その裏には、人口減少と高齢化が進む国内だけでは生き残れないとの危機感がある。「お客さんがあってこそ技術の継承ができる。日本では顧客も若者も減り、このままでは技術者が育たない。日本人だけでなくアジアの人々も含めて人材を育て、支え合っていかないといけない」と考えている。


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