Home » ニュース » 外国人の技能実習「ブラック」な環境 失踪増える背景は

外国人の技能実習「ブラック」な環境 失踪増える背景はジパング協同組合

category : ニュース 2015.12.21 
Pocket

外国人の技能実習制度で「失踪」が相次ぐのは、賃金の未払いなど労働者の権利が往々にして守られない「ブラック」な環境が一因となっている。だが実習生は日本人が避ける仕事を担う、労働力でもある。政府は人口減をにらみ、法改正して受け入れを拡大する方針だ。

 この秋、ベトナム・ハノイにある大学で、日本の介護現場で働こうとするベトナム人女性60人が、日本語を学んだ。初夏から、連日8時間。彼女たちは5月、日本の介護施設経営者の面接試験をくぐり抜けた、介護スタッフの卵だ。

 彼女たちの多くは、外国人技能実習生として来日することになる。日本政府は、今年の成長戦略で、来年度にも実習生が介護現場で働けるようにする方針を盛り込んでいる。

 女性たちと経営者を引き合わせたのは、長野県内で介護事業を手がける甘利庸子さんだ。「海外に頼らないと、人手不足で閉鎖する介護施設がたくさん出る」と直感。2014年、「海外介護士育成協議会」を立ち上げた。介護目的の入国枠を広げる政府の動きが明らかになったためだ。

 今年3月、甘利さんはベトナムへ飛び、国立ハドン医療短期大学と協定を結んだ。看護学科の卒業生を中心に、日本で働きたい女性を募った。教室と寮を使わせてもらい、授業は現地の日本語学校に委託した。

 甘利さんは一方、日本の経営者向けにベトナムへの面接ツアーを企画。社会福祉法人の理事長ら10団体ほどが手を挙げた。

 一行は5月、ベトナムで120人の女性と面接。60人に絞った上で、採用したい女性を指名した。指名順は「公平に」とあみだくじで決めた。

 内定した60人は日本の制度が整いしだい、甘利さんが運営する研修施設で介護を学び、老人ホームなどで働く予定だ。「需要は大きいのに、日本では人が集まらない。介護を受けられずに亡くなる時代が来てしまう」。8月にはフィリピンに飛び、90人ほどの女性看護師相手に、日本で働こうと呼びかけた。

     ◇

 技能実習制度は、先進国の技術を身につけてもらう「国際協力」が目的だ。だが、違う実態が潜む。

 中国人女性(29)は13年秋、茨城県内の大葉の栽培農家で働くために来日した。月収2万円弱だった中国江蘇省の農家に、夫と子ども2人を残してきた。「3年で500万円稼げる」と話すブローカーを信じ、諸費用の100万円は親戚に借金して用立てた。

 毎朝8時~午後4時の大葉摘み取りは、時給713円。当時の最低賃金だ。夕方からは、大葉を10枚ごとに束ねた。日付が変わる頃までかかったが、「残業」に時給はなく、1束2円の出来高払い。1時間で150束作るのが精いっぱい。手は荒れ、葉っぱに血がついた。

 ログイン前の続き受け入れ農家の男性は、たびたび体を触った上、女性がシャワーを浴びている時に部屋に忍び込み、浴室のドア越しに「一緒に浴びたい」と声をかけたこともあったという。「退職」に追い込まれた女性は今、日本の支援者が運営するシェルター施設で暮らす。

 実習先は選ぶ余地がない上、転職も原則できない。借金して入国するケースが多く、仕事を辞めるわけにもいかない。米国はこの制度を、毎年出している人身売買報告書で、「強制労働が起きている」と批判。「本来の目的である技能の教育は行われていない」(15年版)と指摘した。


コメントフォーム

Copyright(c) 2015 ジパング協同組合 All Rights Reserved.