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(外国人@ニッポン)実習生、欠かせぬ人手ジパング協同組合

category : ニュース 2015.12.15 
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■変わる社会・現場から:下

 10月下旬、茨城県神栖市の漁港で、インドネシアの男性2人が底引き網漁に使うロープを手入れしていた。2人の表情に浮かぶ笑顔を見て、はさき漁業協同組合の宮本聡総務次長(45)は目を細めた。

 漁協は今年、初めて外国人技能実習生を受け入れた。19~22歳の若者16人が4月、インドネシアから来日。サバやイワシを水揚げしているが、いずれ人手不足に陥る可能性がある将来を見越してのことだった。

 組合員の一部には「言葉が通じない者を入れて仕事になるのか」といぶかる声もあった。「摩擦が起きないか不安だった」という宮本さん。しかし、「みんな真面目で素直」と、実際に接して不安は薄らいだ。

 手取りで月10万円の給料を支払い、生活費は漁協で面倒をみる。カラオケに連れて行ったり、バーベキューに誘ったりして組合員も距離を縮めていった。宮本さんは「今のところうまくつきあえている」。互いに気を許し、「家族のよう」と思えるまでになった。

 ログイン前の続き技能実習生は日本で働く外国人の約2割を占める。途上国への技術支援を目的に1993年に受け入れが始まり、法務省によると、2014年末時点で約17万人。10年前の約1・5倍になった。工場や農業など各地で人手不足を補う欠かせぬ存在となっている。国も介護などへ対象分野を広げ、期間の上限も3年から5年に延ばす方針だ。

 しかし、安価な労働力として利用する会社もある。「賃金が安ければいいという雇い主の考え方は変わっていない」。岐阜市にある岐阜一般労組の北島あづさ副委員長は憤る。

 岐阜県内には、全国で2番目に多い約1万人の実習生がいる。組合は外国人支部を設け、特に実習生ら外国人の労働問題の解決に力を入れている。「給料をきちんと払ってもらえない」。8月、こんな相談が寄せられた。岐阜県内の縫製工場で働く20~30代の中国人女性3人からだった。

 月給は手取りで約5万円。1日平均約5時間に及ぶ残業代は、1時間あたり300~500円。県の最低賃金の半分かそれ以下だ。北島さんらが賃金交渉に会社を訪れると、社長は夜逃げした後で、実習生らは泣き寝入りしたまま今夏、帰国した。

 厚生労働省が9月に公表した実習生受け入れ機関の立ち入り調査では、全国3918事業所のうち76%で時間外労働や賃金不払いなどの法令違反が発覚。調査は毎年実施され、違反事業所の割合は横ばいだ。

 北島さんによると、近年は弁護士を雇って裁判で争ったり、二重帳簿を作成して証拠がわからないようにしたりするなど、一部の事業所では手口が巧妙化しているという。相談件数は13年ごろがピークだったが、今でも毎日のように全国から寄せられる。

 「低価格競争の激しい一部業界の構造的な問題」と指摘する北島さん。「『外国人だから賃金が安くてもいい』という差別的な考えも根っこにある」


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