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外国人実習、定着の陰で 「貴重な働き手」失踪も多くジパング協同組合

category : ニュース 2015.4.10 
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 日本国内で外国人が働きながら技能を学ぶ「外国人技能実習制度」。人手不足に悩む製造業や農家では、事実上、貴重な働き手を確保する仕組みとして定着している。しかし、実習生の失踪が相次ぎ、悪質な受け入れ先の問題が指摘されるなど、不透明なイメージもつきまとう。専門家は「実習生の立場を明確にし、待遇改善を図るべきだ」としている。

 瀬戸内海に浮かぶ広島・因島。海に臨む作業場で、日本人の従業員に混じってタイ人の若者が黙々と溶接作業などに汗を流していた。

 創業約130年の村上造船所(広島県尾道市)では、日本人の従業員8人に対し、タイ人実習生は4人。「今や因島の造船業は外国人実習生に支えられている」と村上善彦社長(55)は話す。

 村上造船所は寮として一軒家を借り上げ、布団や自転車などを用意。来日して約3年になるタンワー・タナンチャイ氏(25)は「仕事は大変だけど、社長さんらが優しく教えてくれて日本の生活は充実している」と笑顔を見せた。

 造船の現場の仕事は肉体的にきつく、危険な機械も扱うために日本人の若者からは敬遠されがち。島は過疎化と高齢化が進むなか、約10年前から実習生の受け入れを始めた。因島商工会議所などによると、因島や周辺の島に来ている実習生は約1千人。同会議所の担当者は「実習生が因島からいなくなれば、過疎化と産業衰退が加速する」と話す。

 実習生は農業でも貴重な戦力となっている。全国で最も受け入れ数が多い茨城県では、中国人やベトナム人ら約4千人が人手のかかる野菜農家などで働く。JA茨城県中央会の担当者は「農業は常態的な人手不足で実習生に頼らざるを得ない」と話す。

 一方、法務省によると、2014年に実習先から失踪した実習生は4851人で05年の2.5倍となった。過去10年の合計では計2万4千人を超え、大半は不法残留になっているとみられる。

 劣悪な労働環境がこうした失踪の要因の一つとされ、同省によると、2013年に認知した受け入れ先などの不正行為(366件)のうち、賃金未払いなど労働関係法令違反が3割以上(124件)を占めていた。

 実習生の相談を受ける弁護団には「残業の時給が300円と不当に低い」「暴力を受けた」といった苦情が相次ぐ。

 政府は15年度にも受け入れ期間を最長3年から最長5年に延長する方針。不正防止策として新たに監督機関を設け、「失踪者などの実態把握を急ぎたい」(法務省入国在留課)とする。

 外国人労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は「失踪を防ぐには監督強化だけでは効果が足りない。賃金改善など実習生の権利を擁護する仕組みが必要だ」と指摘している。

 ▼外国人技能実習制度 発展途上国などの外国人が働きながら日本の技術を学ぶ仕組みで、1993年に始まった。対象は建設や農業、漁業、食品製造、機械・金属など71職種に上る。

 法務省によると、2014年末時点の来日中の実習生は約16万7千人。出身国は中国が約10万人と最も多く、ベトナムとフィリピン、インドネシアが続く。


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