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社説:外国人実習制度 労働条件改善に努めよジパング協同組合

category : ニュース 2015.2.4 
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 外国人技能実習制度の在り方を検討していた政府の有識者懇談会は、労働条件を向上し、人権侵害を防ぐため、新たな監督機関の設置を柱とする報告書をまとめた。政府はこれを基に関連法案を通常国会に提出する。

 監督機関の設置によって一定の効果は期待できそうだ。しかし、背景には実習という名の下、多くの外国人が安価な労働力として働かされている実態があり、改善は容易ではない。

 まず実習生を受け入れている企業が安く働かせるという意識を改革し、労働条件の改善に努める必要がある。政府も監督強化に加え、企業側の意識改革を促す取り組みにもっと力を入れるべきではないか。

 実習制度は途上国の労働者が最長3年間、日本で技能を学び、母国の経済発展に役立てるのが目的だ。昨年6月現在、本県の717人を含む約16万人が全国で農業、縫製業、建設業などで実習している。

 しかし現場では目的と懸け離れた実態がある。安価な労働力として酷使される例が目立ち、長時間労働や賃金不払いも多い。逃走防止のためパスポートを取り上げられた例もある。放置しておくわけにはいかない。

 実習生は通常、送り出す側の海外の団体と、国内企業でつくる協同組合など受け入れ団体が契約を結び、受け入れ団体傘下の企業に雇われる。労働条件の適正化には企業の自主改善はもちろん、受け入れ団体の監督強化も不可欠だ。

 新たな監督機関は「外国人技能実習機構(仮称)」で、今年10月に設置し、来年3月に本格業務を開始する。受け入れ団体と企業に立ち入り検査し、不正があった場合は企業名を公表する。受け入れ団体は許可制とし悪質なら取り消しもあり得る。

 ただ、効果にはやや疑問も残る。実習生が働く企業は全国に約3万社あり、機構の立ち入り検査は3年に1回にすぎない。受け入れ団体への立ち入りは1年に1回で、これで不正を発見し、改善につなげることができるのだろうか。

 報告書は監督機関の設置とは別に、実習制度の対象職種に新たに介護分野を加えることも提言した。介護現場での深刻な人材不足が背景にある。肉体的な負担の割に待遇が不十分とされる介護職で、外国人がさらに劣悪な労働を強いられることにならないか、懸念される。

 高齢者の増加により、介護需要が増すのは確実だ。日本人で需要を満たすことが困難だから、外国人で不足分をカバーするという発想が妥当なのかどうか。そもそも実習制度は労働力不足に対応するためのものではない。介護分野への実習生受け入れは慎重であるべきだ。

 報告書は、優良企業での実習期間をこれまでの最長3年から5年に延長できる案も含む。実習生が置かれた労働実態からすれば、時期尚早ではないか。労働条件改善が先決である。


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