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外国人技能実習制度 人権保障の仕組みこそ必要だジパング協同組合

category : ニュース 2015.1.24 
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 研修の名の下、途上国の人々を安い労働力として酷使し問題視される外国人技能実習制度。政府は監督機関を新設して受け入れ先の不正監視や実習生保護を強化する報告書案を有識者懇談会に示した。これを基に今月召集の通常国会に関連法案を提出する。
 現在国内で働く実習生は約15万人。安倍政権は経済界の強い要請を受け、労働力不足の解消策としてさらなる拡大を成長戦略に盛る。最長3年の受け入れ期間を5年に延長し、介護分野にも対象を広げる方針だ。不正監視強化の背景には国内外の支持を得たいとの思惑があろう。
 だが、同制度は本来、習得した技術を母国発展に役立ててもらうための仕組みだ。国際貢献の目的からかけ離れ、低賃金で労働力補てんに利用する実態には問題がある。研修名目の曖昧な制度で労働者に弱い立場を強いること自体、根本から改めるべきである。
 転職の自由のない実習生への人権侵害や違法行為は著しい。厚生労働省の一昨年の立ち入り調査では、受け入れた2318事業所の約8割に当たる1844事業所が何らかの労働基準関係法令違反をしていた。法定労働時間の超過や賃金不払いに加え、業務の安全配慮も不十分で実習生は命の危険にさらされている。
 毎年調査していても、タイムカード偽造など悪質な事例が後を絶たない。新たな監視組織では調査頻度は受け入れ団体で年1回、働かせる団体傘下の企業は3年に1回だという。それで労働環境が守られるとは到底思えない。
 パスポートや通帳の取り上げ、外部との連絡禁止、帰国強要などの人権侵害も明らかになっている。米国務省の人身取引報告書は「強制労働」と厳しく指弾している。
 政府は母国語の相談窓口を新設し、必要なら企業変更をあっせんするというが、大切なのは事後対応でなく最初から人権を守る仕組みだとの認識を求めたい。都合のいい労働力との発想が消えない限り状況改善は難しいだろう。
 これは外国人だけの問題ではない。安い労働力確保に安易に走って、賃金や業務の改善、雇用施策を置き去りにすれば、国内の格差社会は拡大し、産業は先細る。
 それでも、少子化による労働力不足が避けられない状況下、外国人の力を借りようと本気で考えるなら、日本人と同様の労働の権利保障や家族を含めた社会保障、日本語教育などの支援システム確立が先だ。正規の労働者であり社会の一員として、真正面から受け入れなければならない。
 韓国や台湾では外国人労働者受け入れ体制充実に政府が本腰を入れている。将来を見つめた政策論議や外国との信頼構築がないなら、日本経済にしっぺ返しがくるだろう。


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