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【年間キャンペーン 脱人口減少~とかちの未来】道内ルポ(3)水産加工業主体 紋別市(オホーツク)ジパング協同組合

category : ニュース 2015.1.6 
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“3K”の印象 外国人頼み
 「水産加工場の仕事はきつい、汚い、危険の3Kの印象が強く、求人を出しても集まらない。外国人技能実習生はなくてはならない存在だ」。オホーツク管内西部に位置し、豊かな海の幸に恵まれた水産都市・紋別市。水産加工業者はつぶやいた。

求人を出しても人が集まらず…
 同市漁業はホタテや秋サケを中心に年間70億~80億円前後の水揚げを誇る。漁業とともに、地域経済を支える基幹産業のひとつが水産加工業で市内には65の加工場が軒を連ねる。しかし、1960年代に4万人を超えた同市人口は2014年11月に2万3720人まで落ち込んだ。人口減に伴い働き手も減った。地域産業の担い手のひとつとして重みを増しているのが技能実習生の存在だ。

 十勝でも、農業を中心に受け入れが進む外国人技能実習生。道内ではオホーツク管内が受け入れ数が最も多い。中でも紋別市は06年には近隣4町と構造改革特区認定を受け、1カ所の加工場での受け入れ人数制限を緩和した先進地。現在、中国やタイから訪れた約220人の実習生が市内の水産加工場で技術を学ぶ。

実態は労働力? ばつ悪い関係者
 だが、技能実習制度について、地元関係者は取材に対して口が重い。

 市内のある水産関係者は「人権侵害という批判もある。痛くもない腹を探られるのではないかと、皆警戒しているのだろう」と打ち明ける。

 制度に対する風当たりは、全国的に強い。技能実習は文字通り技能の習得が目的だが、実態は単なる労働力ではないのか-。こんな指摘が海外からもわき上がっている。

 逃亡を防ぐため、パスポートを受け入れ機関が取り上げて管理したり、多額の保証金を預かるといった事例が全国的に横行した時期も。日本弁護士連合会が制度廃止を訴えている他、アメリカからも毎年のように改善が求められてきた。

 こうした批判に対し、市水産課の兼田秀哉水産振興係長は「技能実習制度については誤ったイメージによる偏見が多い。確かに本州では賃金や待遇をめぐるトラブルもあるとは聞くが、北海道は事情が異なる」と反論する。紋別で研修した実習生のほとんどが母国に帰って水産加工業に従事するという。技能実習制度の本来の趣旨に沿っているというわけだ。

 ただ、運用が正常化していても、制度が今後も地域産業を継続的に支えていく切り札になり得るかは、未知数だ。

実習制度も限界に 担い手確保に暗雲
 実習生を最も多く送り出す中国は経済成長で、希望者が以前よりも集まりにくくなってきた。実質賃金の目減りにつながる円安も追い打ちをかける。実習生受け入れ機関のひとつ紋別国際交流協同組合では「一人っ子政策で子供の頃から大切に育てられているのか、以前より、こらえ性がなくなった。豊かになった日本人の若者と同じだ」とする。

 「中長期的に考えれば技能実習制度も行き詰まる可能性はある」と予見する関係者もいる。人口減少に伴う人手不足が、地域産業の生産力に暗い影を落とし始めた。産業が衰退すれば働く場が減り人口流出を加速させる“悪循環”を繰り返そうとしている。(長田純一)

【紋別市】
 オホーツク管内西部の中心都市。水産の他、東洋一の産出量を誇る鴻之舞金山など金山開発でも栄えた。1970年代閉山後、人口は減少し、2005年に道都大学紋別キャンパスも閉鎖した。流氷観光など交流人口増にも力を入れている。


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