Home » ニュース » 外国人技能実習/制度の抜本改革へ議論必要

外国人技能実習/制度の抜本改革へ議論必要ジパング協同組合

category : ニュース 2014.8.27 
Pocket

 政府は外国人技能実習制度について、実習生を保護し、雇用主らに対する監督、指導を強化するための機関を2015年度中に新設する方針を固めた。
 実習制度をめぐっては、低賃金や長時間の残業、旅券や通帳の強制保管といった人権侵害など、多くの問題が指摘されている。労働環境の改善は急務であり、実効ある対応を求めたい。
 ただ、国際貢献という理念と、安価な出稼ぎ労働者の確保策という実態との乖(かい)離(り)が制度運営上、大きな齟(そ)齬(ご)を生み出しており、緊急避難的な対策だけで現制度を維持・拡大させるには無理があるだろう。抜本的な見直しの第一歩とすべきだ。
 外国人技能実習制度は途上国の労働者を日本に受け入れ、習得した技術を母国の経済発展に役立ててもらうのが目的で、1993年に導入された。2013年末の時点で繊維・衣服や機械・金属関係の68職種に15万5千人の実習生がいる。
 労働基準監督署による指導では毎年、監督実施事業所の約8割に賃金不払いや時間外労働などの法令違反が見つかっている。20~30歳の若い実習生に、過労死が疑われる突然死や自殺も相次いでいる。
 不正が横行しながらも、救済を求める実習生からの申告は減少する一方だ。技能実習という性格上、実習生には転職の自由がなく、受け入れ企業で法令違反が認められれば実習の継続自体が困難となり、帰国を余儀なくされてしまうからだ。
 実習生の送り出しに関してはブローカーの存在も指摘されている。多額の準備金を払い、違約金や保証金に関する違法な契約を結んで来日する実習生も少なくない。日本の裁判所や報道機関への訴え、労働組合への参加やストライキを禁止するなどだ。劣悪な環境で酷使されても泣き寝入りせざるを得ない一因と言われる。
 政府は新たな成長戦略に、外国人実習生の受け入れ拡大を盛り込んだ。新機関設置による実習生の保護をアピールし、国内外から向けられる厳しい視線をかわす狙いが見て取れる。
 対策としては、立ち入り調査を拒否した場合の罰則や、法令違反企業の公表、受け入れ団体への監査体制の強化などが想定されているが、制度導入から20年も徹底されなかったことが問題であり、最低限の内容と言える。確実に実行してほしい。
 目が届きにくい送り出し機関へのチェック強化も不可欠だ。相手国の公的機関を関与させることも必要になるだろう。
 何より、受け入れ団体や送り出し機関に対し、支配従属的な立場を強いられる制度の構造にこそ切り込むべきだ。それなしに実習生受け入れを拡大しては、新たな人権侵害を生む。
 構造にメスを入れることは、国際貢献の名の下で労働力不足を解消しようとする、ある意味、制度の限界を認めることにつながるが、もはや外国人労働者の受け入れについて、正面から議論することを避けては通れない段階に来ている。


コメントフォーム

Copyright(c) 2014 ジパング協同組合 All Rights Reserved.