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迎える 「外国人活用の足元」(2)進む日本人の『空洞化』 技能継承に危機感ジパング協同組合

category : ニュース 2014.8.27 
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 「建設業界の現場には掃除や荷積みなど雑務をしてくれる“球拾い”が必要。これまでは高卒の10代が担ってきたけれど、今の最年少は23歳。ここ数年若手を採用できていない」

 横浜市内にある従業員十数人の建設会社の社長(36)は危機感を募らせていた。若手の募集に年間数百万円かけても、応募がないのだという。「どんどん高度な仕事を覚えてもらいたいのに、これでは従業員を成長させられない」

 景気回復で建設需要は増えた。背に腹は代えられないと、この社長が頼るのが外国人だ。8月にもベトナムへ出向き、技能実習制度の枠組みで2~3人の若手を受け入れることにした。

 急場をしのぐ付け焼き刃と知りながらの苦渋の選択。だがその先にあるのは何か。

 「一時的に外国人を受け入れても、数年で帰国する。日本の若者を雇用しないことで、技術の継承が途絶え、中堅作業員のいない業界ができあがる。日本の誇るべきものづくりはどうなってしまうのか」。社長は表情をこわばらせた。

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 県内ゼネコンの松尾工務店(横浜市鶴見区)では、昨年12月から建設分野の技能実習生として22~25歳のベトナム人3人を受け入れた。「将来は船を買って船長になりたい」と話すルオン・バン・クイさん(22)もその1人。建設現場へ配送する直前の鉄筋加工の工場で、大型のクレーンで重たい鉄筋を切断機へ運び入れ、図面通りの長さに切り曲げて指示された数量にまとめトラックへ積み込む。

 熱心に建設技術を学び、残業をいとわず、積み荷に手間取る他業者にも率先して声を掛けて手伝い、ミスをすれば正直に打ち明けて謝る。「日本の若者とどちらかを選べというなら、私は迷わずこの子たちを選ぶ」。現場を取り仕切る主任の谷川峰子さんは目を細めて言う。

 同社労務部の上田吉一さんはその言葉を、傍らで複雑な心境で聞いていた。「確かにベトナム人の評判はいい。現場の混乱もない。人手不足の中で一息つけているのが実情」としつつ、こう続けた。「受け入れて数年で帰国、そして新たな受け入れ。これを続ければ、建設現場での人材と技術の空洞化が進むだけだ」

 受け入れ期間の延長などは五輪までの時限措置とする案もあり、外国人雇用の拡大が一過性の政策だということも、先行きを不透明にしている。

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 根本的な問題は別にある、との指摘も。「業界も国も、日本の建設業界の魅力向上に本気で取り組んでこなかった。そのツケが若者の建設離れだ。ものづくり全般で希望者が少ない」。横浜市内のゼネコンの幹部は嘆くが、人手不足が解消されるはずもなく、近く中国人5人を技能実習生として受け入れる。

 「人買いみたいなことして、いいことはない。この業界をこれからどうするのか、本気で考えないといけないはずなのに」。そう訴える中小建設業の従業員にも、処方箋は描けていない。


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