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成長戦略と女性 働き手としか見ないならジパング協同組合

category : ニュース 2014.6.27 
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女性の積極登用は安倍晋三政権の看板政策の一つである。政府が閣議決定した経済財政運営の基本となる「骨太方針」と新たな成長戦略でも前面に押し出された。

少子高齢化と人口減少が止まらない日本が経済成長を続けるには新たな担い手が必要である。まずは女性であり、さらに高齢者であり、外国人であるというわけだ。

骨太方針では真っ先に女性の活躍と男女の働き方改革を掲げた。

 ▼肝心なのは意識の改革

具体的に政府は何をするのか。女性が働きやすい環境を整える。例えば保育所増設とともに小学生の子どもを受け入れる「放課後児童クラブ」などの拡充を進めて、育児と仕事の両立を支援する。

もっと積極的に女性の地位向上も図る。「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%」に引き上げる政府目標の実現に向けて、新たな法律を作るという。

国や地方自治体、企業に女性登用の目標とそれを実現するための行動計画を求め、登用に積極的な企業への奨励策も設けるという。

1986年に男女雇用機会均等法が、99年には男女共同参画社会基本法がそれぞれ施行された。

だが、男女格差はなかなか縮まらない。昨秋、スイスのシンクタンクの世界経済フォーラムが2013年版男女格差報告を出した。

それによると、日本は136カ国のうち105位にとどまった。

これは単に国と国を比較するものではない。国ごとに女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、数値化したものだ。

日本が最も遅れているのは政治の分野で118位だった。例えば国会議員である。衆院で見ると、女性議員は1割にも満たない。

こうした状況を大きく変えるために政府が後押しするのはいい。

問題は意識である。性差別は根強い。あらためて、それを実感させることが東京都議会で起きた。

18日の一般質問で塩村文夏都議(35)が出産や子育てで支援充実を求めた際、「早く結婚した方がいい」とやじが飛んだ。「産めないのか」などのやじもあったという。

まさに品位のないやじである。批判が広がるのは当然で、23日になって自民党の鈴木章浩都議(51)が「早く結婚した方がいい」とやじを飛ばしたことを認めた。

事態を甘く見ていたとしか思えない。人格や人権を傷つけることに無神経すぎる。女性の活躍の場を本当に広げていこうというなら意識改革がまず必要だ。

だが、どうだろう。政府の発想は経済成長ありきで、その手段としての女性活用といった調子だ。

女性を「働き手」として持ち上げて、うまく使おうとの発想ならば、果たして計画通りいくか。

女性と高齢者とともに有望な戦力と期待する外国人もそうだ。

新たな成長戦略には外国人技能実習制度の見直しを盛り込んだ。

具体的には受け入れ対象業種の拡大、技能実習期間を最大3年間から5年間に延長、受け入れ枠の拡大などを計画する。さらに、女性の社会進出に伴う家事支援で外国人の受け入れも検討する。

 ▼技能実習にも厳しい目

だが、この制度には国内外の批判がある。米国務省が先週公表した世界の人身売買の実態をまとめた年次報告書で取り上げられた。

報告書には意外な事実がある。4段階で最高評価を受けたのは欧米などの31カ国・地域で、そこに韓国、台湾が名を連ねる。では、日本はどうか。上から2番目の評価に長年とどまったままだ。

厳しい目が向けられた一つが技能実習制度である。報告書には同制度で茨城県にやって来た22歳と23歳の中国人男性の写真がある。宿舎にいる2人の写真は生活環境と労働条件の悪さを象徴する。

パスポートを強制的に預けさせたり、実習生同士の接触を妨げたり、賃金をきちんと払わなかったり‐と問題点を指摘する。

政府も批判を意識し、制度の抜本的な見直しをうたった。関係省庁が連携し、一貫した国内の管理運用体制を確立するという。

報告書には女子高生とデートできるという「JKお散歩」も出てくる。金を払って散歩の触れ込みだが、性交渉例もあったとした。

米国の勝手な格付けともいえるが、こうした見方があることに留意すべきだ。女性や子ども、外国人の人権に無頓着な国のイメージが広がることはマイナスである。
=2014/06/25付 西日本新聞朝刊=


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